批判を強めるトランプーコロナ後の米中関係はどうなるか?

 

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コロナウイルスは2019年の12月頃に中国の武漢で感染が見られてから、3月頃には世界中で流行が始まった。500万人もの感染者をだしているが、感染源である中国は感染がおさまり、経済活動を再開している。これに対して、特に感染者が世界最大となったアメリカでは中国当局の対応の遅さや、協調性のなさに対して批判を強めている。現在中国政府が公表している感染者数はここ一ヶ月程ほとんど増加していないため感染はおさまったようにも思えるが、その数字がどの程度信用できるかどうかも分からない。当初から中国政府の対応は批判されており、実際2019年末に中国武漢の李文亮医師が新型コロナウイルスの発見を自身のSNSで発表をしたにもかかわらず、李医師はその後拘束され、事態が深刻化してから中国政府による対応が始まった。さらにはここ数週間WHOによる中国国内での調査の要請を拒否しており、諸外国と協調していく意向があまり見られない。
 コロナウイルス流行以前から中国に対する批判を強めてきたトランプ大統領であるが、自身のコロナウイルスに対する対応が批判が増加してからは、批判を外部に向けようと中国を罰する考えを示している。その一つとして、アメリカの法律に基づいて中国の主権免除破棄がある。主権免除を破棄することにより、アメリカ政府やアメリカ国内の企業が中国政府を訴えることが許され、中国に対して多額の賠償金を払わせるのが狙いだ。またこれにより、現在中国政府が持つアメリカ政府に対する100兆円に及ぶ借金の一部が免除されることにもなる。しかし借金免除に対してはアメリカ政府内でも疑問視する声が上がっており、実現するかどうかは今後トランプ大統領がそれをどれ程望んでいるかによるだろう。
 トランプ大統領が考える中国に対する「仕返し」として、実行される可能性が一番高いものは、やはり中国製品に対する関税の引き上げだろう。しかしコロナウイルス流行により経済活動が停止され、3000万人に及ぶと言われる失業者を抱えるなか、これは自傷行為のように思える。関税を上げることで中国製品の値段が高くなり、売り上げを下げるのが目的だが、経済的に困窮している多くのアメリカ国民の消費を抑えることにつながり、結果的にアメリカ経済にも影響が及ぶのではないだろうか。さらには昨年から激化していた米中の貿易戦争によりあらゆる分野で関税を引き上げたため、再び関税を上げたところでそこまで効果があるようにも思えない。
 どちらにしろアメリカが中国に対して何かしらの報復措置をとるのは間違いない。トランプ大統領をはじめ、ポンペオ国務長官など強硬路線を進むアメリカ政府の高官が今後どのような行動にでるかにより、今後の国際情勢が大きく左右されそうだ。